東書Eネット 東京書籍 小学校でさらに伸ばそう幼児期の終わりまでに育ってほしい 10の姿 執筆：松嵜洋子（千葉大学）田村学（國學院大學）監修：無藤 隆（白梅学園大学） 教えて！田村先生 close 田村 学 たむら まなぶ 1962年生まれ。國學院大學教授。上越教育大学学校教育学部附属小学校教諭などを経て、昨年度まで文部科学省教科調査官、視学官を務める。新学習指導要領の改訂に携わる。 ポイント 　今回、幼稚園教育要領等で示された「10の姿」は、幼児期の教育においてのみ重要視されるものではなく、小学校以降の学びの基盤となるものです。そのため、小学校学習指導要領の総則に示されているように、小学校教育でも「10の姿」を踏まえた指導を行い、幼児期の教育と連携を図ることが求められているのです。 　大切なのは、小学校教育をゼロからスタートするのではなく、幼児期の教育の上に積み上げていくということです。幼児期に育まれた力を見取り、生かす指導により、児童が自ら学ぶ力を伸ばしていきましょう。 1 健康な心と体自ら見通しをもって思い切り体を動かし、心身の充実を図る close 1 健康な心と体 ● 遊びの中で 友達と一緒に思い切り体を動かして様々な動きを楽しみ、のびのびと遊ぶ。 ● 朝の時間に 次の活動を見通して準備したり、安全な生活のために必要なことを自らしたりしようとする。 2 自立心自分の力で行うため、工夫しながら諦めずにやり遂げて、自信をもつ close 2自立心 ● 登校後に しなければならないことを自覚し、自分でできることは自分でしようとする。 ● 休み時間に すぐにはできないことも、目標に向かって粘り強く取り組む。 3 協同性互いの考えなどを共有し、共通の目的に向けて協力して実現していく close 3 協同性 ● 遊びの中で 友達の良さに気付き、自分の思いや考えなどを相手に分かるように伝えて遊びに誘う。 ● ゲーム遊びで 共通の目的に向けて友達と話し合い、協力して取り組む。 4 道徳性・規範意識の芽生え物事の良い悪いが分かり、決まりを守るために互いに折り合いを付ける close 4 道徳性・規範意識の芽生え ● 遊具遊びで 友達の気持ちに共感し、ルールを守りながら活動や遊びに取り組む。 ● 体育の授業で 相手の気持ちに共感し、折り合いを付けてより楽しく遊べるようにルールを話し合う。 5 社会生活との関わり家族や地域の人と関わり、情報を活用しながら社会とつながっていく close 5 社会生活との関わり ● 公園で 公共の施設などに出かけ、地域の人と関わりながら、社会とのつながりを意識する。 ● 学校探検で 身近なものとの関わりから気付いた情報を積極的に取り入れて活用し、楽しみながら伝え合う。 6 思考力の芽生え物の性質や仕組みについて考え、友達とやり取りをし、よりよい考えを生み出す close 6 思考力の芽生え ● 学校探検で 探究心をもって、予想したり、試したりして、主体的に問題を解決しようとする。 ● 秋の校庭で 教科等の学習に興味や関心をもって、自ら考えたり、判断したりして多様に関わる。 7 自然との関わり・生命尊重身近な自然や生命に触れ、愛情を抱き、その特徴に気付く close 7 自然との関わり・生命尊重 ● 春の校庭で 校庭の自然に触れてその変化を感じたり、身近な自然の美しさや不思議さに感動する。 ● 虫を飼うとき 生き物と関わり、生命を大切にしようとし、生きることの素晴らしさを感じる。 8 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚遊びや生活の中で数量や図形、標識や文字に親しみ、その働きに感覚を通して気付く close 8 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 ● 学校巡りで 日常生活の中にある標識や文字などに関心をもち、学んだことを使おうとする。 ● 算数の学習で 自分たちの遊びや生活の中で楽しみながら数えたり比べたりする。 9 言葉による伝え合い絵本などに親しみ、経験や考えを言葉により伝え合う close 9 言葉による伝え合い ● 国語の学習で 自己紹介をして、初めて出会う先生や友達と新たな人間関係を築く。 ● 朝の会で 相手の話を聞いて理解したり、言葉による伝え合いを楽しんだりする。 10 豊かな感性と表現美しさへの感性に基づき、表現の仕方の特性に気付き、表現することを楽しむ close 10 豊かな感性と表現 ● 校庭で遊んだ後に 感性を働かせて、自信をもって表現する。 ● 図工の学習で みずみずしい感性をもとに思いを巡らせ、自分の気持ちや考えを適切に表現する。 Copyright © TOKYO SHOSEKI CO., LTD. All rights reserved